“リハビリを超えるリハビリ”
ハンドベルでつながる一体感【3】
その人に合ったやり方で参加することが満足感につながる
認知症や耳が聞こえにくいなどの理由で、ベルの音を周囲とうまく合わせられない利用者もいます。その場合は、鈴やタンバリンなど、ハンドベル以外の楽器を担当してもらい、職員のサポートを受けながら、演奏を支えてもらいます。
また、リウマチで物をしっかり握れない利用者のために、ベルの持ち手をゴムバンドで太く巻いて掴みやすくするなど、細かい工夫も。いずれも、利用者が自分の持てる力を出し切れるように、との心づかいです。
「一生懸命やった結果生まれる充実感や満足感が、さらなるやる気を引き起こすのではないでしょうか。そのためにどんなサポートが必要かを職員全員で常に考え、実践し、各利用者様の100%が引き出せるようにしています」
上手に演奏するより、一生懸命楽しく演奏する。こうした利用者のポジティブなパワーは、指揮をする菊池さん自身にも元気を与えてくれるのだとか。
「指揮をしている間は、お互いの心がハダカになっているような、“魂のぶつかり合い”の感覚があります。自分が落ち込んでいる時も、楽しみながら演奏している1人ひとりの表情を見ると励まされて、なんだかこちらがリハビリを受けているような気持ちになります(笑)。指揮者だけが味わえる“役得”ですね」
この楽しさを、もっと多くの人に知ってもらいたい
年1、2回は他の施設などへの“訪問演奏”も行っています。昨年は牛久市の社会福祉協議会のホールで、「知床旅情」など5曲を披露しました。
今後の訪問演奏では、観客にも楽器を体験して頂いたり、演奏に合わせて歌ってもらったりしたいと、菊池さんが話してくれました。
ハンドベルは演奏する人だけでなく、その音楽を聞く人たちにも楽しさや元気を伝えられるレクリエーション。そんな“移動遊園地”のような時間を無理なく作っていくことが、「たいせつの家」ハンドベルチームの目標です。