一人ひとりに寄り添うケア
アロマテラピーで心と身体を解きほぐす [2]
移動の難しい利用者の方にはベッド上でトリートメント
「やすらぎ特養」では、ベッド上でのトリートメントが中心です(「やすらぎアロマトリートメント」)。担当するのは専任の介護職員。同じ介護職員が担当することで利用者が安心できるように、との配慮からです。
アロマトリートメントは、利用者の表情を見つめ、話しかけながらゆっくりと行うことが大切。そうすることで、お互いがリラックスでき、心を通い合わせることができます。
関節の拘縮、筋肉の緊張で悩む人にも効果的。アロマトリートメントを行うと、拘縮で固くなっていた手のひらに血が通って赤くなり、少しずつほぐれて、開けるようになりました。
「アロマテラピーは医療ではなく、あくまでも自然療法。拘縮を根本的に解消できるわけではありませんが、少しの間でも筋肉の緊張をとくことで身体の痛みを和らげることができます。アロマトリートメントを行っていると、表情にも動きが出てきて、口数も増えていくんですよ」(伊藤さん)
利用者には、佐藤先生が一人ひとりの健康状態に合わせて調合したアロマオイルを使用します。効果・効能を考慮することはもちろん、利用者に合わせた香りを調合することでアロマオイルを楽しんでもらうための工夫も凝らされています。
安心・安全を第一に考慮 佐藤先生が指導・監修
アロマテラピーは、使用するアロマオイルの成分や、アロマトリートメントの方法を利用者の健康状態や病状に合わせて、吟味する必要があります。同施設では、安心・安全のアロマトリートメントを行うため介護職員は佐藤先生による研修を受け、トリートメントの方法などについて実習を交えて実施されます。
利用者にアロマトリートメントを行う際にも、看護職員、ケアマネジャーによって話し合いが持たれます。まずは利用者の健康状態などを記したカウンセリングシートが看護職員によって作成されます。
アロマオイルの効果・効能という観点から佐藤先生が利用者のカウンセリングシートをチェックし、アロマトリートメントを行います。不安がある場合は必ず報告され、その都度、継続するか中止するかの判断をします。
「基本的には週に1回のペースで行われますが、利用者の体調に合わせて頻度や時間を変えます。施術時間はご利用者の身体の負担にならないように、1回30分以内で終えるようにします。体調への影響を考え、たとえ要望があったとしても頻度や時間を増やすことはありません」伊
藤さん)
文/江川 司(KWC) 写真/中村年孝