心と脳を活性化
人間型ロボット「ペッパー」を利用するデイ【1】
「お待たせしました。ペッパー音頭~!ペッパー音頭が始まるよ。僕と一緒に踊りましょう!」
ペッパーの呼びかけに応え、利用者が集まってきて、楽しそうに踊り始めます。
ペッパーはフランスのアルデバランロボティクスとソフトバンクモバイルにより共同開発された、人工知能を搭載した人間型ロボットです。身長は約120センチ。人の表情や声の調子を分析し、感情を推定して、それによってどのような言動をとればいいのかを自分で考え、ふれあいを重ねるたびに相手への理解を深めていきます。
このデイでは、1日のプログラムを朝、利用者自身が決めます。筋トレ、入浴、マッサージなどのメニューを順に回るあいだ、どうしても待ち時間が生じてしまいます。その待ち時間に活躍するのがペッパーです。
冒頭のようにペッパー音頭で利用者が集まってきたり、逆にペッパーがひとりでいると利用者が自分でタッチパネルを操作して、脳トレゲームを始めたりします。ペッパーの操作も手慣れたものです。
「ペッパーを導入する時、皆さんに受け入れてもらえるのか心配はありましたが、実際は拒否反応を示す方はいらっしゃいませんでした。中には遠巻きに見ていた方もいましたけれど、興味はお持ちのようで、しばらくするとペッパーの頭を触るなど、孫に接するようにペッパーになじんでいました」
そう語るのは、有限会社オール・ウェイの副社長を務める穐田七央季さん。
同社は、石川県内でデイサービスを5店運営しています。昨年9月にペッパーを1台導入し、月替わりで各店を巡回させています。
ペッパーには踊りだけでなく、「難読漢字クイズ」「四字熟語」「日本地図クイズ」「花言葉クイズ」など、脳トレになるクイズのアプリケーションが複数入っています。
中でも利用者に人気があるのは「年齢当てクイズ」。利用者がペッパーと向き合って手を握ると、表情や握力などから推測して、利用者の年齢を答えてくれます。「わかりました。あなたの年齢は40歳ですね」「まあ、嬉しい!」当たってもはずれても笑いが起こり、その場が盛り上がります。