一緒に考えよう!これからの介護
地域包括ケアでの個別機能訓練とは
個別機能訓練というと、立つ・座る・歩くことができるようになる身体機能の向上を目指すトレーニングをイメージする人は多いでしょう。しかし、住み慣れた地域で自立して暮らせるよう支援する「地域包括ケアシステム」の観点から行う個別機能訓練は、身体機能の向上が最終的な目標ではなく、“生活機能の維持・向上”につなげていくことが目的です。
これに沿って国が示す要件(基準)を満たせば、「個別機能訓練加算」として介護報酬が受けられます。
個別機能訓練は、機能訓練指導員が利用者の生活の意欲向上につなげる援助を行うもので、介護職員も重要なスタッフの一人です。
具体的には、利用者の心身の状態、生活状況を見て、「掃除をする」「風呂に入る」などの生活行為全般、「商店へ買い物に行く」「孫へメールをする」「インターネットで手続きをする」といった社会と関わりを持つ行為を目標にした機能訓練を計画し、実践します。あくまでも地域や自宅での生活を支える機能を回復・維持するという考えに立ったものです。
監修/梅沢佳裕
地域包括ケアでの個別機能訓練は身体機能の向上だけでなく生活機能の維持・向上を目指している日頃から利用者をモニタリングし専門職の立場から助言、サポートを一般社団法人 福祉と介護研究所 代表理事。社会福祉士、介護支援専門員。介護専門学校の助教員を経て、特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター相談員を歴任し、デイサービスやグループホームの立ち上げをプロデュースする。介護職・相談員等の研修のほか、医療保健福祉関係者が集う「地域包括ケア推進全国サミット」を今年度から開催。
イラスト/市川彰子