健康運動指導士に聞きました
筋トレが認知症予防にいい理由~その1
筋刺激を与えることで感覚神経が脳を刺激する
私たちは体を動かすとき、例えば「歩け」という指令を脳から筋肉に電気信号で伝えています。このとき使われるのが運動神経です。逆に動いた筋肉の刺激を脳に戻すのが感覚神経です。脳からの指令を伝える運動神経は、認知症であっても正常に働く人が多い一方、脳に刺激を戻す感覚神経の場合、MCI(軽度認知障害)や認知症の人は働きが悪いという特徴があります。
例えば、認知症の人が予想もしない長距離を歩いて移動することがあるのは、痛みや疲れが脳まで達していない、つまり脳と筋肉を結ぶ感覚神経がつながっていないためと考えられます。
認知機能向上のカギは、脳と筋肉を結ぶ感覚神経をつなげること。それには、筋肉に負担をかける筋トレを行うのが効果的です。筋肉を鍛えることで感覚神経がつながりやすくなり、脳に強い刺激を与えることができます。その結果、認知機能の改善が期待できるというわけです。
監修/本山輝幸(もとやまてるゆき)
総合能力研究所所長。公益財団法人健康・体力づくり事業財団所管健康運動指導士。感覚神経に着目した認知症の予防・改善法を指導。現在、筑波大学附属病院ほか医療施設で、運動指導にあたっている。
イラスト/さいとうかこみ
総合能力研究所所長。公益財団法人健康・体力づくり事業財団所管健康運動指導士。感覚神経に着目した認知症の予防・改善法を指導。現在、筑波大学附属病院ほか医療施設で、運動指導にあたっている。
イラスト/さいとうかこみ