高齢者医療の新しい概念
「老年症候群」を知ってケアに生かそう~介護職の役割
生活に密着した介護職の視点が不可欠
介護職のなかでも、特に医師や看護師と連携がとりづらい施設で働く介護職の方は、看護師のような役割を求められる実態があるかもしれません。しかし、介護職本来の専門性は何かといえば、やはり対象者のすぐそばで、生活に密着した現象や社会的な問題を観察し、介助するというところにあるはずです。
先に言った通り、老年症候群は原因が分からないことも多いし、治療できないことも多いのです。でも、現れた症候は確かに生活に影響を及ぼします。その現場で観察・介助する介護職の皆さんの力によって、老年症候群を抱えた人の暮らしやすさはだいぶ違ってきます。
その意味でも看護師のような介護職である必要はないのです。医学的知識に頼らず、素直な観察の目で利用者を見てほしい。私たち老年科医にとって、介護職の皆さんは〝聴診器〞であり、対象者を助けて癒す〝薬〞なのです。
東京ミッドタウンクリニック シニア医療部 部長
トラストクリニック等々力 院長 大蔵 暢
1971年生まれ。富山医科薬科大学(現・富山大学)を卒業後、聖路加国際病院などを経て2001年に留学のため渡米。ワシントン大学で公衆衛生学を、ミシガン大学で老年医学・高齢者医療を学び、2009年に帰国。日本老年病専門医、米国内科・老年医学専門医。著書に『「老年症候群」の診察室─超高齢社会を生きる』(朝日新聞出版、2013年)がある。
イラスト/藤原ヒロコ
トラストクリニック等々力 院長 大蔵 暢
1971年生まれ。富山医科薬科大学(現・富山大学)を卒業後、聖路加国際病院などを経て2001年に留学のため渡米。ワシントン大学で公衆衛生学を、ミシガン大学で老年医学・高齢者医療を学び、2009年に帰国。日本老年病専門医、米国内科・老年医学専門医。著書に『「老年症候群」の診察室─超高齢社会を生きる』(朝日新聞出版、2013年)がある。
イラスト/藤原ヒロコ