土に触れ、植物を育てる
園芸療法において独自の手法が注目されるデイ【1】~意欲を引き出すプログラム
目的意識が自然と生まれ、心身を活性化
自然と触れ合うことが心身の機能向上や改善に効果があるとされる園芸療法。デイサービスセンター晴耕雨読舎では園芸療法をほぼ毎日実施。利用者は希望すれば、午前中だけでなく、午後もその活動ができます。
「多少天気が悪かったり作業が少なかったりする季節でも、自分が植えた野菜や花を気にして外に出て活動する方が多いですね」。そう語るのは、所長の石神洋一さん。
利用者は朝のバイタルチェックを終えると、一斉に畑へと向かいます。
取材に訪れたこの日はあいにくの曇り空でしたが、スコップで土を混ぜる人、肥料を蒔く人、ワラで縄をなう人、それぞれが作業に精を出しています。「利用者さんは私たちの働きかけで取り組んでいるわけではありません。おいしい野菜やきれいな花を育てたいから、何より楽しいから体を動かしているのです」と石神さん。園芸療法の最大の魅力は意欲を引き出し、その結果、心身の機能回復につながる点にあります。
さらに、「植物が日々変化するのを実感できることもほかの活動では得られない魅力」とも。その日に見た植物の様子と、1週間後では状態が変わっているため、変化が楽しみになるのです。同施設が園芸療法を積極的に取り入れているのも、前身となる介護予防事業の中で実践し、効果を実感したから。
「園芸療法はこちらが意図せずとも自然の力が助けてくれ、プログラムとしても優れていると思います」(石神さん)。
文/オフィス朔 写真/内藤貞保