根拠のある認知症ケア
「物盗られ妄想」への適切な対応とは?
共感し、話を聞くことがケアの要
認知症のBPSDの1つに、「物盗られ妄想」があります。女性に多く見られ、財布や鍵など大事な物を「盗られた」と訴えます。家族や介護職員などの身近な人ほど疑われやすいため、感情的になって関係がぎくしゃくしたり、対応に苦慮して疲弊してしまうことも少なくありません。
しかし、物盗られ妄想は、記憶障害や思考力の低下といった「認知症による脳の障害によって起こるもの」です。正しい認識を持ち、冷静に対応することが大切です。利用者が入所直後などで強く不安を感じている時や、精神疾患によって物盗られ妄想が起きることもあります。
「盗られた」という訴えの奥に隠れた思いを探り、受け止めることが大切です。介護者が共感的に話を聞いて、妄想が軽減されていくケースもあります。
本誌では、「物盗られ妄想」に対する認知症ケアの考え方や、適切な対応事例を紹介しています。
監修/里村佳子
社会福祉法人呉ハレルヤ会 呉ベタニアホーム理事長。広島国際大学臨床教授、広島県認知症介護指導者、広島県精神医療審査会委員、呉市介護認定審査会委員。2017年、訪問看護ステーション「ユアネーム」(東京・荻窪)を開設。著書に『尊厳ある介護』(岩波書店)。
文/森 麻子
イラスト/藤原ヒロコ
社会福祉法人呉ハレルヤ会 呉ベタニアホーム理事長。広島国際大学臨床教授、広島県認知症介護指導者、広島県精神医療審査会委員、呉市介護認定審査会委員。2017年、訪問看護ステーション「ユアネーム」(東京・荻窪)を開設。著書に『尊厳ある介護』(岩波書店)。
文/森 麻子
イラスト/藤原ヒロコ