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デイ探訪

高齢者と障がい者の共生型デイ

ランチを調理する“働くリハビリ” で地域の一員に【2】

ランチを調理する“働くリハビリ” で地域の一員に【2】

お客さんの反応が気になって「お味はいかがですか?」と尋ねる利用者も
料理をレストランのカウンターに並べて作業は終了。利用者もその料理を器にとり、ランチタイムです。その間にも、関連施設の利用者やスタッフ、地域の人たちが続々と来店。若者のグループ、老夫婦、赤ちゃん連れのファミリーなどが訪れ、ランチを楽しむ様子が見られました。

昼食を終えた利用者のなかには、お客さんのテーブルへ行って「お味はいかがですか?」と尋ねる人も。「とてもおいしいですよ」という答えに、満面の笑みを浮かべていました。

利用者の多くが認知症がありながら、職員はほぼノータッチ。その理由について「認知症の人は記憶に障害がありますが、その部分をサポートすれば、特に困ることはありません。ゆくゆくは職員がいなくても仕事が回ることを目指しています」と鈴木さん。例えば、利用者に今作っている料理名を尋ねると、「何だったかしら?」と答えられない人もいますが、手はスムーズに動き、手際よく作ることができます。

「厨房から出るとご自分が作ったことを忘れ、『亀吉さんに来るのが大好き。おいしい料理が食べられるから』とおっしゃる方もいます」と言うのは所長の木村由香さん。「それでも、料理をした楽しさは体が覚えているらしく、みなさん、本当に生き生きされています」とのこと。

役割意識を持てるとともに、調理には、立って作業しながら重い鍋や材料を運ぶことで上下肢の筋力やバランス感覚が鍛えられたり、順序立てて行うことで脳機能を高めたりする効果もあります。ここに通うことで、要介護5や4から、次第に介護度が下がって要支援1にまでなった例もありました。

また、表情の乏しかった女性の利用者が、かめキッチンで明るく働いている様子をご主人が見て感動し、利用のたびに同行してボランティアをしているケースもあるとか。お孫さんがレストランに来て、テキパキと働くおじいちゃん・おばあちゃんの姿を見て、驚いたり喜んだりすることも珍しくありません。

「家では表情が乏しくても、ここで役割を持つことで、かっこいいおじいちゃん・おばあちゃんに変わる。これはとても大事なことだと思うんです。高齢になっても、認知症になっても、ちゃんと輝けますよと伝えたいですね」(鈴木さん)

NPO法人シニアライフセラピー研究所 カルチャースクール亀吉(神奈川県藤沢市)
利用者が併設のレストラン「かめキッチン」の厨房でランチメニューを調理。隣の障害者就労支援事
業所で作ったパンもレストランで提供する。高齢者と障害者が共に働く共生型のデイ。

文/松崎千佐登 写真/中村年孝

この記事が掲載されている号

レクリエ 2019 5・6月号

レクリエ 2019 5・6月号

40ページに掲載

おもなレク
  • 5・6月の壁画「尾瀬の水芭蕉」
  • ごぼう先生の大吉体操「反射力」
  • 機能向上のための大人数でも楽しめるレク
  • バリアフリー2019へ行こう!
  • 信頼関係を築くための「接遇力」を身につけよう!
  • 「パーソン・センタード・ケア」に沿った認知症ケア

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