最前線インタビュー
いるだけで癒やされるデイサービスを目指して【2】
栃木県や群馬県など5県で、デイサービスや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅を展開している株式会社ワールドステイ。「地域のニーズに応える形で施設を増やしてきました」という代表取締役社長・岡田隆さんに、企業理念から施設のあり方、デイでのレクリエーションまで、お話を伺いました。
子育てママや高齢者に向けた求人募集も展開中
――事業拡大に伴い、人材採用はどのように?
人材採用もニーズに合わせて工夫しています。そのひとつが子育てママの募集です。「子育てと仕事を両立させたい」「子どもの運動会は休みたい」といった声を受け、子連れ出勤や学校行事のお休みOKなど、育児中の女性が働きやすい就労の仕組みを構築。子どもたちが学校や幼稚園からママが働いている施設に「ただいま」と帰ってこられる環境作りもしています。実際、スタッフの子どもたちは施設の事務所で宿題をし、デイで遊んだりお茶を出す手伝いをしてくれたりしています。今後は自社による託児所の併設も考えています。
また、「年齢を重ねても働き続けたい」「1日2~3時間でいいから働きたい」という高齢者の声を受け、65~75歳の人に向けた募集も始めました。定年退職した男性の応募も多いです。
さらに、当社では高齢者施設に調理済み食材を届ける事業も行っており、高齢者や障害者、外国人の方も多数働いています。
高齢者もスタッフも家族も笑顔になれるデイを目指す
――デイサービスでのレクリエーションについて教えてください。
ゲーム、運動、外出レク……。各デイのスタッフが考え、好評のレクを管理者会議に持ち寄って広げています。DKエルダーシステム(第一興商)を活用したレクも人気です。これは通信カラオケ機器に組み込まれたプログラムに合わせて歌ったり、体操したり、間違い探しなどの認知トレーニングをしたりするもの。音楽に合わせてのレクは盛り上がり、体操で腕が上がるようになるなど、できなかったことができるようになった利用者様も多いです。
ママさんスタッフの子どもとのふれあいもレクのひとつになっています。子どもたちと一緒にカラオケをしたり、ゲームを楽しんだり。利用者様と子どもたちの笑い声が響き、うちのデイはにぎやかですよ。デイの見学者からも「楽しそう。ここなら私もやっていけそう」という声をいただいています。
――今後の展望をお聞かせください。
今後もデイサービスを軸に、地域の利用者様も入居者様もスタッフもスタッフの家族も笑顔になれる施設でありたいです。施設の増加?施設は箱を作ればよいわけではなく、「どういうデイなら参加したいか」「どういう施設なら入りたいのか」「どういう環境なら働き続けられるか」など地域のニーズを知り、それに添うことが大事です。なので、施設の拡大は地域のニーズに合わせて考えていきたい。また、既存の施設で待機者が増えており、敷地内に建物を増設して居室数を増やすことも計画中です。
1980年、社会福祉法人 豊岡福祉会として設立。1996年、介護支援事業や食のトータルサポート事業などを手掛ける株式会社ワールドステイを設立。2019年2月現在、栃木・群馬・新潟・石川・広島にデイサービス32か所、有料老人ホーム12か所、サービス付き高齢者向け住宅19か所を展開。他にフランチャイズ施設が10か所。関連団体の社会福祉法人 豊岡福祉会では軽費老人ホームや在宅介護支援センター、訪問介護事業所、保育園などを展開。従業員数532名(2018年3月現在)
代表取締役社長 岡田隆氏
信用金庫を経て、2004年7月にワールドステイへ入社。同年12月より代表取締役社長。経営、コンプライアンス、営業、相続や税制に関する相談など、金融業界の経験を生かして高齢者施設と介護事業の運営、施設フランチャイズ事業などに携わる。
取材・文/佐藤ゆかり