事例で学ぶ認知症ケア
紙パンツを使わず入浴も嫌がる利用者への対応【1】
事例
失禁があるのに「私はトイレでできます」と紙パンツを使わないSさん。入浴も介助を嫌がるためできず、日常でも人を近づけようとしないため、困っています。
Sさんの生活歴
●82歳。結婚歴はなし。1Kのアパートに一人暮らし。
●元看護師。生家が貧しく、家計を助けるために看護師になり、大学病院で看護部長まで勤め上げた。
●唯一の趣味は茶道で、70歳頃まで人に教えていた。
●70歳過ぎに詐欺被害に遭って退職金などの財産を失い、それが原因で精神疾患を発症し入院。
●近い身寄りはおらず、年金のみで生活。
●若いころから倹約家で、現在も非常に質素な生活を送っており、下着など着衣は古く傷んでいる。
●部屋がゴミだらけになり周囲から苦情が寄せられることもあったが、介護サービスの利用は拒否し続けてきた。しかし自宅での転倒により、入浴が困難になり、デイサービスの利用を始める。
本誌では利用者の言動の背景にある生き方や価値観を洞察するヒントを具体的に解説しています。
監修/服部安子
社会福祉法人浴風会本部浴風会ケアスクール校長、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員。障害者福祉の地域実践を経て、老人福祉施設の立ち上げ・運営に30年余携わる。著書に『認知症ケアの真髄』がある。
文/高野千春 イラスト/ホンマヨウヘイ
社会福祉法人浴風会本部浴風会ケアスクール校長、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員。障害者福祉の地域実践を経て、老人福祉施設の立ち上げ・運営に30年余携わる。著書に『認知症ケアの真髄』がある。
文/高野千春 イラスト/ホンマヨウヘイ