自身を取り戻しQOLも向上!
ショッピングリハで先進的な試みを行う半日型デイ【3】
どの利用者さんにとっても心地よい居場所をつくる
さまざまなリハビリプログラムを取り入れている同デイですが、それらを一斉に行ったり、強制したりすることはなく、あくまでも個々の利用者の希望に沿って行っています。
「やりたいことがあれば、何をしてもいいし、逆に何もしなくてもいい。少人数のよさを活かして、利用者さんには自由に時間を過ごしていただいています」(山口さん)
その言葉どおり、部屋の半分でパワーリハビリをしている一方で、大きなテーブルでくつろいでいる人もいれば、スタッフや子どもとおしゃべりしている人、切り絵アートを作っている人などもいて、ゆったりと思い思いの時間を過ごしていました。なかには、スタッフを手伝って、事務仕事をしている男性も。
介護施設らしくない外観や、決められたことをやらなくてもいい自由な空間、さらに子どもたちもいる家庭のような雰囲気をもつ同デイは、利用者にとって、心地よい居場所になっているようです。
「介護保険を利用し始めると、『もう買い物は難しい』『旅行なんて無理』など、ご本人もご家族も限界をつくりがち。自立した生活ができなくなって自信をなくしている人が多いので、利用者さんたちには広い意味でQOLを高め、自信を取り戻してほしいと思っています」(山口さん)
その一環として、昨年は希望する利用者、スタッフとその家族の総勢十数人で、栃木県の「あしかがフラワーパーク」にイルミネーションを見に行く夜の遠足を実施。なかには歩行器で行った利用者もいたそうです。
「リハビリで歩行が安定すれば、足元が危ない夜の外出も可能になります。そんなふうに生活が変わり、生きる活力につながってこそ、リハビリの意味があると考えています。半日リハでできることはたくさんあると思うので、これからも可能性にチャレンジしていきます」と、山口さんは語ってくれました。
文/松崎千佐登 写真/中村年孝