音楽療法に特化した音楽デイ
生演奏にこだわり合唱に取り組む音楽デイ【1】
音楽大学出身のスタッフによる本格的なピアノ伴奏に合わせて体操、発声・発音練習、そして全員で歌唱。音楽の力を最大限に生かしたレクリエーションを行っている「音楽デイサービス Bravo(ブラボー)!」を訪ねました。
利用者の力を引き出したい!音楽に特化した“音楽デイ”を始めて6年
神奈川県相模原市にある「音楽デイサービス Bravo(ブラボー)!」。室内には1台のピアノが置かれていました。ここは体操も歌唱レクも音楽に精通したスタッフのピアノ伴奏に合わせて行う音楽デイです。ただし、はじめから音楽に特化していたわけではありません。「9年前の開設時はぬり絵や制作などのレクリエーションを行うデイでした。でも、『これならできる』とスタッフが利用者様の力を判断して提供するレクは子どもっぽいものが多く、利用者様もスタッフに言われるままにぬり絵などをするだけ。これでいいのか、と悩みました」と管理者の渡邉和泉さん。
そんなとき、スタッフの永野葉子さんから「音楽療法をしませんか」と提案を受けたそう。音大でピアノの腕を磨いた永野さんは音楽療法士として介護施設などで活動していた人。「『オンチだから』という方も言葉が出にくい方も、ピアノで生伴奏すると自然に口ずさみます。体が不自由な方も手や体でリズムをとってくれる。その経験から、生伴奏による音楽療法は機能訓練につながると思いました」
そしてピアノに合わせて歌うレクを行ってみたら……。「利用者様が顔を上げて歌い始めたんです。しかも音楽療法の時間を増やしたら、みなさんが元気になって。『音楽ってすごい』と思いましたね。そこで6年前、音楽に特化したデイに変えました」(渡邉さん)
同時に“ピアノが弾ける人、音楽が好きな人”という一文を添えて介護スタッフを募集したとのこと。「すると音大出身の応募者がたくさん来てくれました」と渡邉さん。
かくして誕生した音楽デイ。その1日は体操から始まります。円になって座った利用者の足元にはステップ台。ピアノで弾く『みかんの花咲く丘』『北国の春』などに合わせ、「1・2・3」と声をかけながらステップを踏みます。その後「2」で手拍子したり、「3」で隣の人の肩をタッチしたり、複雑な動きに。さらに足が止まっている人がいたら曲を遅くするなど、伴奏者が即興で変えるテンポに合わせて利用者は動きを早めたり遅くしたり。リズムに乗って体を動かすうちに心もほぐれてくるのでしょう。利用者の楽しげな笑い声も聞こえてきました。