うまくいかないのはなぜ?
得意なレクを嫌がる認知症利用者への対応【後編】
レクの時、こんな様子が見られたら……
体操などで自分の動きが合っているか周囲に確認する
失行が生じると、周囲の人と同じように体を動かしているつもりでもできないことがあります。本人もそれに気づき、不安になって周囲に何度も確認します。そうした行動は、ほかの利用者に嫌がられてしまうこともあります。
ほかの人の動きが見える外側の席に移動してもらう
外側の席に移動すると、ほかの人の動きを見てまねできるだけでなく、周囲から指摘されることもなくなります。それでもうまくいかない時は、介護者が手や足に軽く触れ、動くタイミングを伝えるようにしましょう。
できていたぬり絵やパズルができなくなった
空間の位置関係がうまく認知できなくなると、ぬり絵などをうまくぬれなくなったり、パズルもできなくなったりします。ご本人はそのことに混乱していることが多く、「頑張ってやってみてください」などの声かけはより混乱を招いてしまいます。
自尊心を傷つけないよう簡単なものを勧める
本人はできないことを「認めたくない」「知られたくない」と思っています。ですから、自尊心を傷つけないよう「ぬりにくい紙でしたね」「間違えたパズルを渡してしまいました」などと声をかけて、簡単なぬり絵やパズルに変更したり、本人が得意なレクに誘導したりしましょう。
監修/伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。著書に『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く~』など。
文/高野千春 イラスト/田上千晶