会話が弾むデイサービスを目指して
日本の伝統文化で本格志向のレクを【3】
家族からも好評の作品の数々
本格志向のものを創る面白さ、完成したときの達成感。自分の体験を思い起こし、スタッフやデイ仲間と話に花を咲かせる楽しさ……。伝統文化レクがもたらした効果は、それだけではありません。
利用者と家族の絆も深めています。羽子板、雛人形、十五夜お月見をテーマにしたインテリア……。利用者のほとんどがクオリティの高い自慢の作品を自宅に持ち帰っています。「すごい」「こんな立派なものを創ったの?」と家族は驚いているよう。「そして、作品を家の玄関やリビングなどに飾ってくださるようです。利用者様宅を訪問したケアマネジャーから『玄関に飾られていました』と報告を受けることも多いです」
今回の一合枡お神輿も「どこに飾ろうかしら」と利用者同士が話をしていました。「枡の中に指輪を隠して飾ろう」と笑う女性もいました。さらに、伝統文化レクが家族との会話にもつながっています。「家族でお祭りに行ったよね」「雛祭りのときは」と、家族と思い出話を楽しんでいるよう。
「節分の鬼の面や端午の節句をテーマに創った兜などをひ孫さんにプレゼントした方もいます。『家族とこんな話をした』『ひ孫が喜んで』と教えていただいています」
家族の喜びは、利用者の笑顔だけでなく創作への意欲につながっているのでしょう。
「『次は何を創るの?』と、伝統文化レクを楽しみにしてくださる利用者様が多いです」
家庭での生活の充実につなげて欲しい
もちろん、ヒューマンライフケアが行っている制作レクは伝統文化をテーマにしたものだけではありません。事業所ごとにオリジナルの制作レクも行っています。その基本は生活支援につながるもの。
「デイサービスの最大の目的は日常生活を支えること。私たちは日常生活を見据えたサービスを提供していきたいと思っています」
それは「ヒューマンライフケア風鈴の湯」も同じです。靴ベラや孫の手、ペットボトルを開ける道具など利用者の「困っていること」を解消すべく、家で使えるものの制作にも取り組んでいます。
仲間やスタッフとの絆を深め、活の充実をもたらす伝統文化を取り入れたオリジナルのレク。単なる機能訓練だけでなく、生きる喜びと力につながっているようです。