ヒヤリ・ハット&事故報告書
ヒヤリ・ハット報告書を書く4つの理由【3】
ヒヤリ・ハット事例や事故の報告書を書くことには、重要な意味があります。利用者、介護者、事業所のために必要であることを、ここでしっかりと確認しておきましょう。
“もしもの時”に介護職を守るため
重大な事故が起こってしまった場合、報告書は行政へ提出する「介護保険事業者事故報告書」のベースとなり、事業所として適切な対応が行われたかどうかの「証」となります。当事者や事業所はこれによって守られるというわけです。ですから、報告書には起きたことや対応を正確に書くことはもちろん、日々のケース記録や介護記録にも必ず記録する必要があることも覚えておきましょう。
自立の利用者がトイレで転倒(上図)
自立の利用者を介助するため、排泄時にカーテンの外側で待っていたところ、下着を上げるため立ち上がろうとして転倒。便器の前で尻もちをついていました。
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利用者から離れていた理由を記載
トイレ介助を嫌がる利用者に配慮していたこと、それまで排泄や下着の上げ下げは自力で行っていたことを報告書に明記。適切な対応がなされていたことが示されました。
監修/高橋好美
特別養護老人ホーム レジデンシャル常盤台施設長。看護職、メディカルソーシャルワーカーを経験した後、社会福祉士、介護支援専門員の資格を取得。大田区立特別養護老人ホームたまがわ特養第一課課長を経て、2009年より現職。
文/高野千春 イラスト/岡村奈穂美