うまくいかないのはなぜ?
トイレ以外の場所に放尿する人への声かけ[認知症ケア]
Q トイレや便器以外の場所に放尿してしまう人はどうしたらいい?
Cさんは、部屋の隅や廊下の観葉植物のあたりなど、トイレ以外の場所に放尿してしまいます。
一方、Dさんは、トイレには行くものの、便器にうまく放尿できません。
どうしたらうまく誘導・介助できるのでしょうか。
A 認知症の影響による可能性も。原因を見極め、症状に合った工夫をしましょう。
トイレの場所がわからない、トイレまで間に合わない、便器が見分けられないなどは、認知機能や身体機能の低下が原因であることが少なくありません。
原因を解消できない場合は、排泄に困らないような工夫が必要です。
便器に排尿できない人には……
便器全体が白っぽいものが多いので、認知症による失認のために便座の内側をうまく認識できないことがあります。
その場合、フタの上部や便器の内部、便器の前の床などにテープで目印をつけてみましょう。可能であれば、シートなどで壁や床の色を変え、便器とコントラストをつけるのも効果的です。
監修/伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。著書に『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く~』など。
文/高野千春 イラスト/田上千晶