ホテル最上階にあるデイ
ホテル品質のもてなしと充実した個別機能訓練【4】
利用者一人ひとりの必要に応じた個別のプログラムを実施
また、利用者一人ひとりに合わせた個別のプログラムも行われています。
まずここでは、利用者ごとに個別の機能訓練計画を作成し、その計画に沿って、毎回、どのような運動を行ったか、その時間や回数を詳細に記録。その後、3か月ごとにどのくらいできたかを評価して、計画を見直すなど、きめ細かいサポート体制を整えています。施設としては、そのことで「個別機能訓練加算II」の加算要件を満たしています。
この施設と契約し、月数回訪問して利用者を継続的にケアする理学療法士の南 智恵さんは、取り組みについて次のように説明します。
「利用者さんからは、『何もないところでもよくコケるようになった』『トイレにひとりで座りにくい』など、日常生活での困ったことをまず聞くようにしています。その後、それを解決するため、暮らす環境や身体機能に応じてプログラムを設定しています」
例えば、開設当初から通う80代の女性からの、「指の力が弱くなって包丁が握りにくい」という悩みに対しては、ボードにクリップをはさんでいくトレーニングを提案。1日数十分、指先を鍛える訓練を行った結果、包丁をしっかり握ることができ、キャベツの千切りが可能になり、「お好み焼きを作る」という目標も達成したそうです。
ほかには、ベッドから起き上がることが難しく、寝たきり寸前だった利用者が車椅子で週2回ここに通い、数ヶ月で歩けるようになった例もあるそうです。
取材日には、自転車こぎや大股歩行、かかと上げや階段昇降など、集団レクの合間にそれぞれ自分のプログラムに取り組んでいました。
「デイサービスは、ホテルと違って、『利用時に嫌な思いをしたから、次は行かない』というわけにはいきません。だからこそ、一つひとつの関わりが大切。これからも、ホテルならではのホスピタリティを大事に、利用者がこのデイのことを特別な存在と思える“ひと工夫”を進めていきたいです」と拝郷さんは話します。