接遇を見直しませんか?
接遇見直しポイント【2】利用者の呼び方
“親しみ”と“なれなれしさ”は違います
“親しみ”とは、相手に対して尊敬の気持ちがあり、礼儀正しい立ち振る舞いができる態度をいいます。一方、“なれなれしさ”は遠慮がなく不躾な態度のことです。利用者と最初は親しみをもって接していても、距離が縮まってくると遠慮がなくなり、なれなれしくなっていくことはありませんか?
家族のように親密になることで、信頼を得たと思うかもしれません。しかし、親密な関係になることで、利用者は「私を一番に見てほしい」「このくらいならやってくれて当然」などと、特別な待遇を期待するようになります。要求が通らないと、それは不満へとつながっていきます。
また、事業所や施設では、介護職は全ての利用者に平等に接することが基本なのに、例えば「もっと私の話を聞いて」という利用者がいると、その人ばかりに時間をとられて、他の利用者のケアができなくなってしまいます。他の利用者から「あの人ばかりえこひいきして」と不満が出ないとも限りません。介護職としての立場を守るためにも、利用者と“適度な距離”を保つことが大切です。
また、利用者を「〇〇ちゃん」と呼んだり、くだけた言葉で話したりするのを聞いて、不快に思う利用者や家族がいるかもしれません。誰が聞いても不快にならない言葉づかい、接し方を心がけましょう。
監修/蜂谷英津子(はちや えつこ)
HOTシステム株式会社 代表取締役。介護人材育成コンサルタント。大手デパートや外資系ホテルのVIPゲストの担当を経て、介護事業所で接遇マナーやコミュニケーション研修等の講師を務める。2010年にHOTシステムを設立し、現職に。著書に『介護職のための接遇マナー』(介護労働安定センター)等がある。
イラスト/尾代ゆうこ