卓球に特化した機能訓練を行うデイ
卓球で意欲と身体機能を高める【4】
地域の交流拠点のような存在に
現在、2施設を経営する「介護のハッピー合同会社」ですが、石井さんはその役割をまちづくりにもいかしていきたいと考えています。そういう思いから「人が集まるしかけ」をいくつも実践しています。
「ハッピー渋谷」では、大きな窓から室内がわかるようにして開放的な雰囲気を演出。敷地内には、ポストや自動販売機、自治会の掲示板など、公共の設備も設置しています。また、卓球ボランティアをはじめ、手芸や演劇、切り絵、演奏会など、多数のボランティアを受け入れることで地域住民との結びつきを強めています。
さらには、介護など福祉のことを学び合う「共創カフェ」や「オレンジカフェ(認知症カフェ)」も開催。地域団体が開く「認知症サポーター講座」などにも施設を貸し出し、地域住民向けに夜間に「卓球クラブ」を開くなど、地域交流の場としても施設を開放しています。
「職員が好奇心旺盛にハッピーに働いていると、様々な機会や出会いが生まれ、いろいろな活動につながっていきます。それに応じて、施設の意味合いも思ってもみなかった方向に広がり、またそれを楽しんでもいます。これからも、卓球を使ったデイサービスの可能性を発信し続け、この地域を大切にして事業を進めていきたいです。当面の目標は、利用者数をもっと増やしていくこと。そして、卓球を使った機能訓練を広めたいと考えています」
ピンポンデイハッピー渋谷(神奈川県大和市)
文/山辺健史(介護ライター) 写真/中村年孝