卓球に特化した機能訓練を行うデイ
卓球で意欲と身体機能を高める【1】
2015年に開設された「ピンポンデイハッピー渋谷」では、卓球に特化した機能訓練を行っています。フロアには卓球台が常設され、利用者が自発的に卓球を楽しむことで、身体機能の向上を図っています。利用者の様子や卓球の効果を取材しました。
「卓球療法士」が常駐し、機能訓練を行う卓球に特化したデイサービス
ポン、ポン、ポン、パシッ……!
「おー、いいショットですね。打つ時のバランスも良いですよ!」
午前中、デイサービス「ピンポンデイハッピー渋谷」(以下「ハッピー渋谷」)のフロアでは、卓球の弾む音と顧問の長渕晃二さん(NPO法人日本卓球療法協会理事長で卓球療法士)の声が響きます。ラリーの相手は95歳の男性利用者。長渕さんの「では、もう一度打ってみましょう!」という呼びかけで、さらに数十回、見事な腕前で打ち合いが続きました。
このように、午前と午後にわたり、卓球に特化した機能訓練が行われています。1対1のラリーの他に、マシンを使った自主練習、チームプレーで楽しむ「卓球バレー」(後述)など、様々な方法で取り組んでいます。
代表の石井直樹さんは、「ピンポンデイ」を立ち上げた理由を次のように語ります。
「2012年に初めてデイサービスを開設した際、体操やダンス、風船を使ったレクリエーションでは、利用者の反応が芳しくありませんでした。そんな時、卓球をしてみたらかなり好評だったので、思い切って2号店のテーマを卓球に絞ってみたんです」
「ハッピー渋谷」では、長渕さんをはじめ、石井さんや職員の多くが「卓球療法士」の資格を取り、利用者に接しています。利用者が安全に卓球をプレーできるよう、まず体のバランスや足腰の安定感を調べ、どのような打ち方をすべきか(卓球台に手を添えたままにするかなど)方針を決めてから、プレーをスタートさせているのです。足腰が弱まっている場合や無理にボールを追いかけてしまうと転倒の危険もあるので、サポート役の介護職員が後ろにつくこともあります。