医療連携での介護職の役割
高齢者に多い病気~糖尿病
どんな病気?
細胞や筋肉に血液中のブドウ糖を取り込む手助けをするインスリンの分泌が減少したり、働きが低下したりすることで、慢性的に血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなる病気です。血糖値が高くなると、糖が尿にあふれ出るため、糖尿病と名づけられています。
70歳以上では男性の4人に1人、女性の6人に1人が糖尿病とみられます。
高血糖状態が続くと血管の老化(動脈硬化)が進み、脳卒中や心筋梗塞になるリスクが高くなるほか、毛細血管に障害が起こり、合併症を引き起こしやすくなります。高齢者の場合、すでに合併症を引き起こしているケースが少なくありません。
ココをチェック
糖尿病の人は、食事量が不足したり、インスリン注射や血糖降下剤が効きすぎたりすると、血液中のブドウ糖量が極端に低下して、「低血糖」状態になります。低血糖の症状が出たら、まず糖分を補給させましょう。
また、糖尿病の高齢者は脱水により、高血糖高浸透圧症候群になって昏睡状態になることがあるので、脱水にならないよう日頃から注意を。
医療連携のポイント
自分でインスリン注射を打っている、低血糖になりやすいなど、前もって利用者家族から情報を得ておきます。
低血糖で意識がなくなって糖分が補給できない場合は、すぐに医療職に報告しましょう。また、低血糖になることが多い場合も、報告します。
監修/苛原 実(いらはら みのる)
いらはら診療所院長。医学博士。千葉県内で訪問看護、リハビリテーション、老人ホーム等を展開しながら、訪問診療を続けている。現在、在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク会長も務める。『ケアマネ必携! 医療知識ハンドブック─高齢者の病気とくすり』(中央法規出版)など著書多数。
イラスト/ささきともえ