うまくいかないのはなぜ?
体を洗うのを嫌がる人への声かけ[認知症ケア]
Q 体を洗うのを嫌がる人にはどう対応したらいいでしょうか?
気持ちよさそうに湯船につかるBさん。温まったようなので体を洗おうとすると、急に嫌がりはじめます。声をかけながらやっているのですが、ほとんど洗うことができず、どうしたらいいのかわかりません。
A 不安が強く、嫌がる人には「ゆっくり」「やさしく」洗いましょう
【対応のポイント】
まずは利用者の目を見て、「洗いますね」と笑顔でゆっくり声をかけると、言語的理解が低下している人にも安心感を与えられます。同時に介護者自身も落ち着き、ゆっくりとしたケアにつながります。
体をこする時もゆっくり大きな動作で。高齢者は皮膚が弱いので、泡洗浄やスポンジなどで優しく洗うようにします。素早くこすったほうが効率的だと思いがちですが、時間はほとんど変わりません。
腕や手はつかむのではなく、手を添えて持ち上げるようにします。また、どうしても体を洗うのを嫌がる場合は、脇や乳房の下、下腹部など、皮膚トラブルの起こりやすい部分のみを洗い、あとはお湯をかけるだけでもかまいません。利用者を思いやる気持ちが伝わるようなケアを心がけましょう。
監修/伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。著書に『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く』など。
文/高野千春 イラスト/田上千晶