コミュニティの力を生かして
住み慣れた地域で最後まで[3]
小規模多機能ならではの柔軟さでできるだけ長く在宅生活をサポート
25名の登録者に合った3種類の介護を並行して行い、しかもイレギュラーな依頼にも臨機応変に応じるとなると、スタッフはどれだけ大変なのか、想像もつきません。
ケアマネージャーの五十嵐さんいわく「一日をスムーズに進めるコツは、リーダーが一日の流れをつかみ、目に見える表などにして大事なことは逃さないこと。イレギュラーなことは記録を忘れず、スタッフ全員で情報を共有することでしょうか」と五十嵐さん。
また、管理者の土本さんからは、こんな一言も。「めまぐるしいけど、やることが一つひとつ違うので、おもしろい大変さだと思いますよ」。
病気や骨折で入院した高齢者は、退院後、帰宅してもすぐ元の生活に戻れないことがあります。そんな時、「ぐり〜んはぁと」では、退院した利用者がショートステイを利用して生活リハビリなどを行う間に、自宅に福祉用具を導入し、住環境を整えてから在宅復帰の支援を行います。
「こんなケースもあります。90代と80代のご夫婦のうち、奥様が骨折して入院し、退院後、こちらでショートステイを利用し、歩行器で歩けるまでになりました。でも、完全に回復していない奥様が自宅に帰ると、家事をがんばって無理しかねません。そこで日中は奥様を自宅へ送り、夫婦で午後を過ごしていただいたあと、夕方迎えに行って、ここに泊まっていただくことにしました。システムの柔軟さを生かし、本人の希望に沿った対応ができるのも、小規模多機能の強みです」と土本さん。
そして、話の終わりには、こうしめくくってくれました。「可能なら最後まで。それが叶わず老人ホームや病院にバトンを渡す日がくるとしても、ご本人とご家族の気持ちを汲み取りながら、できるだけ寄り添いたい。そうして、自宅で過ごす時間を少しでも延ばす手助けができればと願っています」