認知症の人を地域で支える
【4】認知症カフェの取り組み「オレンジカフェ」(埼玉県川越市)
カフェでの出会いがもたらす効果
「オレンジカフェは、認知症の人を含む誰でも参加可能なカフェというイメージを強く打ち出しているので、いろいろな立場の人が気軽に集まってくれます。その中で、思ってもみなかったような効果も出ています」(吉川さん)
認知症の人と近所の住民が偶然カフェで一緒になり、昔話に花が咲いたり、手をつないで一緒に帰宅したりということも見られるそうです。認知症の人と地域の人々が自然につながることのできる場として、オレンジカフェはあたたかみのある地域づくりを担っています。
また、市内にあるグループホームがオレンジカフェを始めたところ、ホームと地域住民との交流が進み、市民による事業所への理解が深まりました。カフェに認知症の人が参加することにより、埋もれていた残存能力などに支援者側が気づかされるケースもあります。
川越で開催されるオレンジカフェのチラシ
つまり、オレンジカフェを通じて地域との交流機会が増えることで、認知症の人のことがさらによく分かるようになり、現場職員のケアの質の向上にもつながるという効果が見られるわけです。
【監修・執筆】介護福祉ジャーナリスト 田中 元(はじめ)
出版社勤務を経て、介護保険スタート前から高齢者介護の現場取材を続けている。常に当事者とその家族、現場従事者の視点を尊重しつつ、医療・介護専門誌への寄稿や書籍執筆のほか、講演やラジオでのコメントなどを行う。主な著書に『認知症ケアができる人材の育て方』(ぱる出版)、『改正介護保険早わかり』(自由国民社)などがある。
出版社勤務を経て、介護保険スタート前から高齢者介護の現場取材を続けている。常に当事者とその家族、現場従事者の視点を尊重しつつ、医療・介護専門誌への寄稿や書籍執筆のほか、講演やラジオでのコメントなどを行う。主な著書に『認知症ケアができる人材の育て方』(ぱる出版)、『改正介護保険早わかり』(自由国民社)などがある。