現場レポート
多職種チームカンファレンスで高齢者のQOLをサポート【2】
多機能チームカンファレンスの意義は?
病院では治療が主目的になるのに対して、高齢者の生活の場である老人ホームや特養などの施設では、医療・介護・リハビリに加えて社会的問題(例えば、他の入居者や家族との関係性など)まで含めて対応していきます。
そのためには、各専門職の観察したところを持ち寄って評価することが必要なのです。複雑な病態の老年症候群を抱えた入居者に対してなら、なおさらです。病院のカンファレンスのように、医師なら医師だけ、看護師なら看護師だけのように一つの職種だけが集まっていては、このような多面的・複眼的な評価はなし得ないでしょう。
多職種チームカンファレンスがうまく機能するためには、ケアスタッフを含む各専門職が自らの専門性に自信を持って発言し、周りもそれを尊重することが欠かせません。
アメリカ留学の経験をもとに、こうしたチームアプローチを導入した大蔵医師によると、「初めの頃は、時間的な拘束や自由に意見を言うことへのためらいなどから、各スタッフに抵抗感もあったようですが、今ではチームとして情報を共有し、同じゴールを目指していく体制ができあがってきた」とのこと。今後、多くの施設に広がっていくことが期待されます。