介護最新情報
地域ヘルスケア産業を資金面から支援
日本再興戦略の新たな「ファンド」
地域包括ケアシステムの構築が叫ばれるなか、特に中重度者の在宅生活を支援する「介護資源の整備」が急務となっています。そのためには相応の資金やノウハウが必要となり、官民をあげての支援が欠かせません。こうしたニーズを受け、政府支援のもと、㈱地域経済活性化支援機構(REVIC)による「地域ヘルスケア産業支援ファンド」が誕生しました。
同機構は医療機関の事業再生等で数多くの実績がある団体。「地域金融機関等との共同出資」により設立された同ファンドをかいして、介護事業者に「投資による資金提供」や「新事業に向けた経営人材の派遣」などを手がけます。
同ファンドによる第1号の出資先は2か所。一つは、東京都町田市を中心に訪問看護や通所介護などを手がける「株式会社楓の風」です。24時間365日体制で在宅ホスピスを行う訪問看護事業や、リハビリに特化した通所介護事業の展開に支援を受けます。この案件にかかわる取引先の横浜銀行は同ファンドの出資者として参画しています。
もう一つは、東京都豊島区で通所介護事業を展開する「株式会社YOU」。やはりリハビリ機能を強化した通所介護事業の展開に支援を受けています。中重度者の在宅療養や、集中的なリハビリに対するニーズが拡大するなか、時代に即した案件として注目されます。
この地域ヘルスケア産業支援ファンドは、平成26年6月に改訂された政府の「日本再興戦略」でも、「国民の健康寿命の延伸」をテーマとした戦略として位置づけられています。優れたアイデアを実現するうえで資力が課題となる事業所も多いなか、今後も多様なサービスに対する有効な出資支援が期待されます。
取材・文/田中 元