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認知症の人への上手な接し方~4つの代表的な症状編

認知症の人への上手な接し方~4つの代表的な症状編

飯干紀代子(志學館大学人間関係学部教授)

■4つの代表的な症状
認知症は脳の神経細胞が何らかの原因で減少することにより、認知機能が低下して、通常の生活を送ることができなくなった状態を言います。認知症を引き起こす原因となる病気はさまざまですが、代表的なものは、「アルツハイマー型認知症」「脳血管障害型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」の4つです。

認知症の症状は、大別すると、物忘れや計算ができない、漢字が書けないといった認知機能の低下である「中核症状」と、無気力、徘徊、妄想といった「行動・心理症状(BPSD)」の2つに分けられます。4つの認知症それぞれに、特徴的な症状がありますので、上手に接するためには、それらの特徴とコミュニケーション上の問題点を知っておくことが必要です。

■アルツハイマー型認知症
認知症患者の50~60%を占めます。脳の神経細胞の変性や消滅が、側頭葉や後頭葉を中心に起こります。もの忘れなどの「記憶障害」や自分のいる場所や日時がわからない「見当識障害」、「もの盗られ妄想」が主な症状です。

■脳血管障害型認知症
脳血管障害型は、脳梗塞や脳出血により脳の特定の部位が損傷することによって起こります。障害された部位によって症状は様々で、障害されている部分と保持されている部分がまだらになっているのが特徴です。

意識がはっきりしていることも多いですが、なかには思うように話せずにいら立ち、暴力的になる人もいます。一方で、うとうとしながらおとなしく座っているタイプの人も多く、忙しい現場でケアが後回しになりがちです。

■レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、症状の変動が特徴です。たとえば、外出する時、出発時点では楽しそうだったのに途中で急に「あなた、誰? 私をどこへ連れて行くの」などと怒り出したかと思うと、目的地に着く頃には「さあ、みんなで行きましょう」と言い出すという具合です。

鮮やかな色彩を伴う小動物や、亡くなった親戚などがリアルに見える「幻視」も多くみられます。幻視は本人にとっては真実なので、しばしばトラブルの原因になります。

■前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、脳の変性・消失が前頭・側頭に特に多く見られるもので、大きく二つのタイプに分かれます。一つは、食事や散歩、入浴などを毎日同じ時間に行わないと気が済まない、同じものを食べ続ける、というように「常同行動」がみられるタイプで、そのことにより社会的に逸脱した行動となってしまいます。

もう一つは「言語障害」が顕著に出るタイプで、言われたことの意味がわからない、思ったことが言えないといった症状がみられます。

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