料理教室のような空間で楽しめるデイ
料理の力が元気と意欲を引き出す【3】
課題に合った役割
プログラムは午前と午後の2部構成で、午前は作った料理をランチとしていただき、午後は夕食として持ち帰るのが基本です。午後もみんなで食べる楽しみを加味するため、シェフの手作りスイーツをいただくおやつの時間を設けたり、夕食作りとは別に、週2回はスイーツを作るコースを設けるなど、多彩なプランを提案。
午前は生ものも積極的に使う一方、午後は持ち帰り用に同じ食材に火を加えるなど、調理法にも工夫を凝らしています。曜日やメニューや時間帯が自由に選べるのもうれしい点。平均して週1〜2回のペースで通う人が多いそうです。
「もう包丁なんて10年以上握ってないから危ないとか、認知症だから料理なんか無理だとか、家族もケアマネジャーさんも思い込みがちですが、もともと主婦の経験がある方が多いので体が覚えていて、千切りだって、ものすごくきれいにできる。家ではほとんど立つことがない人でも、ここへ来ると周りが立っているのでがんばれる。共同作業をしていると、会話も自然に弾みます」
また、材料を切るだけでなく、計量する、皮をむく、配膳するなど、多種多様な工程があり、自分にできる作業が見つけやすいのも料理の利点。
もちろん、最後のお楽しみは食べること。この日のレシピもけっこうボリュームがある洋食でしたが、ほとんど全員がほぼ完食。
「作って食べるという目的があるので、完成すると達成感もあるし、栄養も取れると、いいことずくめです。自分で作ると五感が刺激され、実際にお腹もすくため、食が細くなっていたのに体重が増えたという方もいらっしゃいます」