認知症ケアQ&A
認知症ケア、うまくいかないのはなぜ?【2】
しっかり観察してサインをケアに結びつける
認知症の人が発するサインは、イライラやソワソワなど「落ち着きのなさ」として現れることが多くなります。これが、大声や暴力、徘徊といったBPSD(行動・心理症状)につながる一歩手前の状態なのです。
たとえば、何度も誘ってようやくアクティビティに参加した利用者——こうした利用者に対し、その様子をしっかり観察してみましょう。
介護者の誘導で、しぶしぶやらされているという表情・態度が現れていたら、それがサイン。話しかけても聞こえないふりをする、目を合わせないなど、かかわらないようにすることもサインの1つです。
このようなサインから、その人が「自分がどのような状況に置かれていると感じているか」を推測できれば、介護者がそれに合わせて柔軟にケアを変え、展開していくことが可能になります。
監修/伊東美緒
東京都健康長寿医療センター研究所研究員、看護師、保健師。介護施設や在宅での認知症ケアを研究。『認知症の方の想いを探る~認知症症状を関係性から読み解く』著者。
文/高野千春 イラスト/祖父江ヒロコ