介護保険改正でどうなる?
介護保険制度改正のキーワードは「自立支援」
来年施行される介護保険制度改正の見通し
介護保険制度の最大の課題は「給付費の効率化」「重点化」です。国・自治体の厳しい財政状況などを背景に、近年は給付費用を抑えようと、軽度者よりも重度者への支援を重視する改正が相次いで行われています。
厚生労働大臣の諮問機関である「社会保障審議会介護保険部会」では、来年2018年の制度改正に向けた議論が重ねられ、昨年12月に『介護保険制度の見直しに関する意見』が発表されました。
これをみると、まず、特養やグループホームなどの施設系・居住系のサービスについては、大きな改正は見込まれませんが、2006年度改正以降の「介護予防」「重度化防止」を主眼とした介護の方向性は、今後も一層強調されそうです。
そして、次期介護報酬改定では、医療ニーズや看取りに対応した取り組みをより評価(増額など)する見通しが示されています。施設では、医療職・リハビリテーション専門職だけでなく介護職員も医療的ケア等への対応に追われることとなるかもしれません。
また、通所介護についても機能訓練やリハビリテーションを重視する流れのほかは、さほど大きな改正は行われないものと考えられます。
しかし、特に通所介護については、保険給付等にかかる費用額の伸びが突出しており、制度改正のたびに「効率化」「重点化」の議論で矢面に立たされてきました。
執筆・監修/高野龍昭
東洋大学ライフデザイン学部准教授。社会福祉士、介護支援専門員。在宅介護支援センターのソーシャルワーカーや、居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして活躍後、現職。『これならわかる〈スッキリ図解〉介護保険 第2 版(2015 年版)』(翔泳社)ほか著書多数。
イラスト/かまたいくよ