認知症ケア
認知症ケアのためのPEAPによる環境づくりとは
認知症の人は、配慮がなされていない住環境では、周囲の状況を理解できずに混乱し、症状も進んでいきます。逆に認知症の人のために環境を整備すると、進行が緩和されると言われます。環境づくりの重要性を考えてみましょう。
環境を整備するにはPEAPの8つのポイントで考える
「認知症の人のための環境づくりというと、建物や設備を変えるなど大がかりな工事が必要と思われがちですが、実は難しいことではありません。ちょっとした工夫で環境を改善しケアに生かしている施設がたくさんあるのです」と児玉桂子先生。
その参考になるのがPEAP(Professional Environmental Assessment Protocol)という環境づくりガイドラインです。認知症の人が安心して、その人らしく、自立した生活を送れるように、環境を8つのポイント(8次元)に分けています。環境づくりを考える時に、この8つのポイントを軸にすると、わかりやすくなります。
8つのポイント
1 見当識への支援
時間・場所・そこで行われていることを認知症の人にわかりやすい環境にする
2 機能的な能力への支援
移動、洗面、食事などの日常生活動作の自立を支え、継続できる環境にする
3 環境における刺激の質と調整
認知症の人に適したよい刺激を提供し、ストレスや混乱をまねかないように調整する
4 安全と安心への支援
認知症の人の安全を脅かすものを最小限にし、スタッフや家族の安心感を高める
5 生活の継続性への支援
慣れ親しんだ環境とライフスタイルを実現するための支援
6 自己選択への支援
認知症の人が居場所や好みの品を自己選択できるような環境をつくる
7 プライバシーの確保
一人になったり、他者との交流を図ったりできる環境をつくる
8 ふれあいの促進
入居者・家族・地域の人などとの交流が図れるような環境をつくる