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認知症の人の暴言・暴力のきっかけ

認知症の人の暴言・暴力のきっかけ

暴言・暴力の多くにはきっかけがある
人が怒るのには必ず理由があり、それは認知症の人でも変わりありません。もちろん、病気の影響や性格によって怒りの感情が起こりやすい人はいるものの、大半の〝怒り〞にはきっかけが存在し、「突然に」「わけもなく」怒るわけではないのです。

だからこそ、どんなきっかけで暴言・暴力という反応が起こったのかを探る必要があります。そのためには、暴言・暴力があった時点だけに着目するのではなく、その「一つ前の場面」で何が起こったのか、どんなやりとりがあったのかを振り返ることが大切です。

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暴言・暴力を引き出したのは介護者かも?
それを振り返るときに重要なのは、「誰のどんな言動によって」暴言や暴力が引き起こされたのかということです。例えばある利用者Aさんが、同じことを何度もスタッフに質問している利用者Bさんにいらだち、暴言を吐いたとします。この場合、Aさんの怒りの原因はBさんにあるので、なるべく両者の居場所を離したり、お互いの目に入りにくくしたりといった工夫をする必要があるでしょう。

また、介護者が暴言・暴力と感じた言動が、「本当に怒りによる反応なのか」という視点も欠かせません。暴言ととらえた言葉が、もともと声が大きく「荒っぽい言葉遣い」をする人だっただけという場合も少なくないのです。同様に、暴力ととらえた行動が、「介護者の手をつかもうとして結果的に引っかいてしまった」というように、本人の意図しないことだった可能性もあります。

しかし、明らかに介護者に対して怒っているケースでは、実はその原因が介護者の言動にある場合が多いのです。特に、「その介助が終われば暴言・暴力がなくなる」というときは、介護者のかかわり方やケアの方法が怒りのきっかけになっていると思われ、自分たちの言動を一つずつ振り返ってみる必要があります。

監修/裵鎬洙(ペ・ホス) 介護福祉士、介護支援相談員、主任介護支援専門員。認知症ケアの観点を増やし、コミュニケーションセンスを磨く研修を提供している。研修オフィス・アプロクリエイト代表、介護老人保健施設名谷すみれ苑主任相談員、コミュニケーショントレーニングネットワーク講師を務める。著書に『“理由を探る”認知症ケア―関わり方が180 度変わる本』(メディカル・パブリケーションズ、2014 年)がある。 イラスト/尾代ゆうこ
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レクリエ 2016 11・12月号

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