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“血圧と体温”が高齢者の入浴可否判断の目安に
介護現場では、入浴時の血圧異常などにかかる事故リスクは悩みの種となりがちです。こうした状況を受け、東京都市大学の早坂信哉教授が、全国2300以上の訪問入浴介護事業所に対して「訪問入浴に関連する事故・体調不良の発生」に関するアンケートを実施し、596の事故事例の解析を行いました。
それによると、入浴前の収縮期血圧(いわゆる最高血圧)が160以上の場合、101~129の場合に比べて事故発生のリスクは3倍以上、180以上になると4倍以上に。また、拡張期血圧(最低血圧)が100以上の場合は、61~84の場合と比較してリスクが14.71倍へと急上昇することがわかりました。
さらに、入浴前の体温が37.5℃以上あった場合、36.0~36.9℃のケースと比較してリスクは16.47倍に跳ね上がりました。この結果から、改めて「発熱時の入浴は避けるべき」だとわかります。
早坂教授は総評の中で、「これまで血圧や体温等の科学的根拠にもとづく入浴可否判断の基準がなかったため、入浴サービスでは、介護者が経験によって入浴の可否を判断していた」という現状を指摘しています。
そのうえで、今回の統計で得られた数値は、「訪問入浴のみならず、介護施設や通所介護・リハビリ、家庭での入浴にも活用できる」としました(ただし、絶対的な基準ではなく、「最終的には個別に判断されるべきもの」である点には注意が必要、としています)。
通所介護の現場でも、改めて入浴時の事故リスクへの啓発を徹底したいものです。