大家族のように皆で一緒に
託児も行う共生型サービスのデイ【3】楽しむ時間を共有
「みんなおいで」の一日は、利用者と子どもたちとの合同のラジオ体操で始まります。デイと託児所を仕切る扉が開くと、「おはようございます」という元気なあいさつとともに、子どもたちが移動してきます。
「今日も元気だね」「元気だよ~」などと言葉を交わしたり、抱っこや握手のスキンシップをしたりしたあと、音楽がかかり、体操の始まりです。子どもたちの明るいかけ声や笑い声で場が盛り上がり、利用者も笑顔で体操をしていました。
厳密にいうと、「富山型」が要介護の高齢者だけでなく、障害のある人、乳幼児、学童など、対象者を限定しないデイサービスであるのに対し、「ふじのくに型」は、高齢者介護施設としてのデイと託児所・保育園などの保育施設をドッキングさせるスタイルをとっています。そのため、立ち上げに際し、「託児所部分とデイ部分が扉で仕切れるようにする」「それぞれのトイレを確保する」という条件がありました。
仕切りといっても、自由に行き来ができます。レクやイベントは一緒に楽しみ、ほかの時間も「感染症の流行時には交流を控えますが、それ以外は、ほぼ、一緒に過ごす感覚」(秋田さん)だといいます。
託児所の子どもたちの保育は保育士、デイサービスの利用者のケアは介護職員がするのは当然ですが、同施設では「お互いに垣根を低くし、保育士が利用者のケアを手伝ったり、介護職員が子どもの世話をしたりと臨機応変にやっています」とのこと。保育士をめざして働き始めたスタッフが、高齢者のケアに、より大きな関心を抱き、先に介護福祉士の資格をとったケースも。
秋田さん自身も、介護福祉士の資格をとり、現在、保育士試験を受けるべく勉強中だそうです。
文/松崎千佐登 写真/大畑俊男