転倒予防のために始めよう 利用者のフットケア
フットケアの基本とは?
「フットケア」といえば、爪切りや足浴を思い浮かべる方が多いかもしれません。それらも大切なフットケアですが、フットケアの基本は、介護職の目で利用者の足を「よく見る」こと。転倒予防や深刻な足の症状の発見にもつながります。足のチェック方法を中心に、介護職として身につけておきたいフットケアの基礎知識を紹介します。
足は単に移動のための器官ではなく全身の健康を守る重要な役目がある
高齢者の多くは、足に何らかのトラブルを抱えていますが、多くの人はその自覚がありません。健康な高齢者でさえそうなのですから、要介護の利用者であればなおさらです。
足は単なる移動の器官ではなく、全身の健康を維持し、命を守る大切な器官です。安全に歩ける足を維持することは転倒を防ぎ、また、歩行によって全身の血液循環を良好に保つことにつながります。さらに、糖尿病や腎臓病など、足に異変が現れる深刻な病気もあります。その場合、足の症状を早く見つけて適切に対処することが、病気の悪化防止にも役立つのです。
フットケアで最も重要なのは、まず利用者の足をよく見てアセスメントを行うこと。車いす使用者の足も、動かす機会が少ないからこそ、念入りに観察する必要があります。「足を見る」ことを意識していないと、入浴時などに全身を観察しても、足まで目がいかないものです。しかし、足の重要性を知れば、日ごろのちょっとした心がけで異変に気がつくことができます。
本誌では、高齢者の足のチェック方法や、足トラブルの種類・ケアの仕方を詳しく解説しています。
トータルフットケア足助人~あしすけっと~代表、一般社団法人フットヘルパー協会会長兼顧問理事、訪問看護ステーションひまわり執行役員。「いつまでも自分の足でどこまでも」をコンセプトに、足の大切さを広め、健康な足づくりを推進するために日々活動している。
文/松崎千佐登
イラスト/福井典子