難聴と認知症のかかわり
補聴器Q&A
補聴器の種類や選び方から、補聴器利用者に必要な配慮まで、補聴器にまつわる疑問にお答えします。
【Q1】補聴器は通信販売や量販店で買ってもいいの?
【A】通信販売などで販売されているものの多くは、補聴器ではなく集音器。違いを理解しましょう。
補聴器と集音器は、どちらも音の聞こえをよくする機器ですが、最大の違いは、医療機器かどうかです。補聴器は、厚生労働省の基準をクリアした医療機器で、販売には「認定補聴器技能者」の配置が必要です。
一方、医療機器ではない集音器は製造・販売に制限がありません。ほかにも、性能面にも大きな差があります。集音器はすべての音を大きく聞こえるようにしてしまうため、かえって難聴を悪化させてしまう場合もあります。
一方、補聴器は聞こえにくい音だけを補うなど一人ひとりの聴力に応じた調整が可能です。ただし、購入後は定期的な調整が必要になります。安全性や効果を考え、認定補聴器技能者がいる専門店で補聴器を購入するとよいでしょう。
【Q2】どんな種類の補聴器があるの? 補聴器を選ぶときのポイントは?
【A】形や機能に違いが。数週間は試聴をして自分の耳に合ったものを選びましょう。
補聴器は、形状の違いから「耳あな型」「耳かけ型」「ポケット型」の3つに分類されます。それぞれ特徴やメリットがあるので、使いやすさや好みに応じて選ぶとよいでしょう。
最近の補聴器は性能が向上し、さまざまな機能がついています。多機能になるほど価格帯も上がりますが、高価ならよい補聴器ということでもありません。認定補聴器技能者のいる専門店に相談し、利用者がどんな場面で困っているのかなどを伝えたうえで、必要な機能を備えた補聴器を選ぶのがよいでしょう。
本誌では、補聴器をつけ始めた利⽤者に対して、介護スタッフが⼼がける配慮へのアンサーも紹介しています。
慶應医師会会⻑。専⾨は⽿科学、聴覚医学、頭蓋底外科など。慶應義塾⼤学医学部卒業後、慶應義塾⼤学医学部⽿⿐咽喉科助⼿、ミシガン⼤学クレスギ聴覚研究所研究員等を経て現職。『ゼロから始める補聴器診療』(中外医学社)、『「よく聞こえない」ときの⽿の本2020年版』(朝⽇新聞出版)など多くの書籍監修に携わる。
⽂/森 ⿇⼦ イラスト/⼩野寺美恵