現場レポート
【介護食の見直し】食事環境をゼロから見直し、個別対応を実現【2】
料理と食材別に切り方や大きさ、堅さなどおおよその規格を決めているため、多様ながらもシステマチックに対応でき、調理側が迷うことはありません。
また、卵豆腐や茶碗蒸し、豆腐料理など、食事形態が安定する料理を積極的に取り入れたり、極きざみ食の汁物は「具なしのとろみ付き」に統一したり、作業時間が限られる調理スタッフの負担を軽減する配慮も行っています。これが配膳ミスを減らすことにもつながっているといいます。
「2007年の開所当初は、『常食』『大きざみ食』『小きざみ食』『ミキサー食』の4種類で提供していました。そうすると、大部分の人がミキサー食になってしまって……。
そこで『極きざみ食』を取り入れてみたら、多くの入居者が食感のある食事を口にして、笑顔をみせてくれたんです。拒食気味で食事介助が必要だった人が、自力で食べるようになったケースもありました」と尾崎さん。味、香り、食感が人にいかに満足感を与えるかということを再確認したそうです。
「ごちそうさま」―ほぼ完食。食事形態が合っていれば、喫食率も高くなります。同施設には半量にした「ハーフ食」もあります。食事が進まない人のために、ご飯は利用者が大好きなおにぎりにして提供。
現在は「小きざみ食」のパサつき、見た目、口腔内でのバラつきなどが課題。尾崎さんは毎日、荒井施設長は週3回試食をして、感想や問題点を施設と給食会社のスタッフとで行う給食会議でフィードバックしています。食を大切にする同施設の熱意を感じることができます。