利用者の気持ちを考えた認知症ケア[13]~家族支援編
専門医の受診を嫌がる場合
家族が受診を嫌がる場合、自分の親や配偶者が認知症であると認めたくない気持ちを持っているケースが多いものです。これは認知症に対する偏見や、今後のケアについて考えたくないという現実逃避などが背景にあります。これを乗り越えて相談や受診をすることが、家族にとって大きな決断であることを認識して、その心理に共感を示し、対応することが大切になります。
家族だけで医療施設へ
本人が嫌がる場合は、家族だけで医師に相談することが可能です。その際、ケアマネジャーが同行すると安心です。本人の状態を専門家に伝え、ある程度判断してもらうと家族にも心構えができます。「物忘れ外来」など専門外来や、かかりつけ医に相談するのも一つの方法です。
家族が受診に消極的なら、病気の説明を
認知症という病気そのものに対する理解が不足している、「自分の親に限ってあり得ない」と思い込んでいるなどの理由から、受診に結びつかないケースもあります。まずは「認知症」という病気や早期の治療の有効性について説明し、家族の理解を深めるようにします。
※六角僚子
東京工科大学医療保健学部看護学科教授。看護師、保健師、介護支援専門員でもある。NPO法人認知症ケア研究所代表理事を務め、茨城県水戸市を中心に「デイサービスセンターお多福」などを運営する。