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音楽の力で認知症が改善!? 衝撃ドキュメンタリー映画 「パーソナル・ソング」
アルツハイマー型をはじめとする認知症は、中核症状にあたる「記憶障害」や「見当識障害」などを回復させる治療法が、いまだ発見されていません。認知症薬の投与についても、あくまでも症状の進行を遅らせることが目的です。
しかし、環境や接し方を整えることで、本人の混乱や不安、ストレスが軽減され、穏やかな暮らしを続けることは可能です。その一つに音楽を使ったケアが数多く実践されています。そして今年「音楽によって衰えた記憶力を回復させた実例」が、アメリカでドキュメンタリー映画として上映され、世界に衝撃を与えました。
これは、「パーソナル・ソング」(マイケル・ロサト=ベネット監督)という映画で、今年度のサンダンス国際映画祭やミラノ国際映画祭などの映画祭で多くの賞を受賞しています。この貴重なドキュメンタリー映画が、12月から日本国内でも順次公開されます。
「パーソナル・ソング」では、認知症患者が、昔好きだった音楽を聴いたとたん、突然スイッチが入ったように、陽気に歌いだしたり、音楽のすばらしさを語り出したりする。(2014年12月より、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開)
その内容とは……認知症の高齢者を支援するソーシャルワーカーが、元IT業界で働いていた経験から「ipodを使って、その人の好きだった音楽(パーソナル・ソング)を聞いてもらう」ことを思いつき、実践します。すると、認知症の人がその曲に合わせて歌い始め、やがて失われたはずの記憶も次々と呼び戻されていきます。まさに奇跡の瞬間が収められたフィルムといえます。
はたして、それが中核症状の改善がもたらしたものなのか。実際に本作品を観たうえで、認知症ケアにおける「音楽の可能性」を体験してみたいものです。
取材・文/田中 元