入浴の楽しさをもう一度
銭湯を利用したデイ【2】健康づくり
デイサービス「湯~亀」の母体である「新生湯」は昭和27(1952)年創業の歴史ある銭湯。地域に長く愛されてきた銭湯がなぜ、デイサービスを行うようになったのでしょうか。
「以前はトレーニング機器メーカーで働いていました。母親が倒れて病院に見舞いに行くようになると、入浴が困難な高齢者がたくさんいることに気がついたんです。風呂屋として何かできることはないかと考えはじめました」(新井さん)。
「高齢者に大きなお風呂にのんびり入って元気になってもらいたい」と、新井さんは実家の銭湯を継ぎ、妻とともにヘルパーの資格を取得。一人で入浴できない人を送迎し、入浴介助するというデイサービスの前身に至りました。3年後には高齢者が利用しやすいように浴場の改修を実施。高齢者用のいすの高さに合わせた洗い場の台や手すり、デイ用に脱衣所のロッカーを可動式にするなどし、本格的にデイサービスとしてスタートしました。
「デイに行くのは抵抗があっても、通い慣れた銭湯なら気軽に来られる人もいます。お風呂は男女別に6~7人のグループで入り、スタッフも5~9名つきます。入浴時はスタッフが多く必要になりますが、全員の入浴が1時間程度で終わるので、短時間ですみます。また、大勢のスタッフが見守っているので、利用者も安心してゆっくり入浴することができます」
「銭湯をデイとして利用するにあたり、当初は地域の人たちの理解を得られるか一抹の不安もありました」と新井さん。しかし、「ずっとこの地でやってきた新生湯さんなら」と、あたたかく受け入れられたそう。
利用者の方々は、昼食前に配達される近所の米店の手作り弁当を心待ちにしています。おいしいと評判です。