仲間と語り合いながら創作できるデイ
創作レクに特化したデイサービス【3】
ものづくりの得意なスタッフが利用者と向き合って創作を支援
利用者が思い思いに創作を楽しんでいる“やと”。それを支えているのがスタッフです。舞台美術やパッケージデザインに携わる木工作家、書道の師範、パン作りの講師、リメイクの達人など、スタッフの多くは創作の仕事をしてきた人や特技をもっている人。
「求人募集に『創作活動のお好きな方』の一文を加えたら、創作の得意な人が集まってくれました。オープンニングスタッフのほとんどが今も活躍してくれています」
書道では師範のスタッフが時節を取り入れた手本を書き、舞台美術の経験者などが創作物のデザインと制作手順を考え、パッチワークの講師が作品の構図を考案し、リメイクの達人が布テープなど家にあるものを使ったアイデア作品の見本を作っています。発酵から始めるパン作りレクでは、パン講師でもある生活相談員がアドバイザーになっているとか。手が不自由な人のための編み物補助具など、利用者が創作しやすいように道具も手作りしています。また、創作の材料として利用者や家族、地元市民から寄付された布や毛糸などを仕分けし、それを使ってのものづくりも提案。そうやってスタッフと利用者で創作レパートリーを広げています。
「簡単なものは利用者様がものづくりの醍醐味を味わえないし、完成時に達成感が得られません。難しすぎるものは『できない』となってやる気も失せてしまいます。どうやったら利用者様のやる気を引き出せるか、どんな作品なら飽きずに創作を楽しんでいただけるか、どういう完成度なら喜ばれるか。お一人お一人と向き合って『どこまでできるか』を見極め、ご本人の能力や機能の少し上の作品を提案しています」
そしてテーブルを回って作品作りを支援し、手が止まっている人がいたら声をかけます。
「“やと”のスタッフの仕事は、介護職員として食事や入浴などの介助をしつつ、利用者様とコミュニケーションをとりながら、ご本人の創作に対する思いと力を引き出して作品の幅を広げること。それができる熱意のあるスタッフがいるから、創作に特化したデイが成り立っています」利用者とスタッフが向き合ってこその本格的な創作活動。そして、それが利用者の喜びにつながり、利用者の笑顔がスタッフの喜びにつながっています。