介護記録の書き方 書くことがない時の介護記録の書き方
2017年04月20日
書くことがないのは、実は、利用者をしっかり見ていないことが原因です。利用者の生活が、毎日、まったく同じということはありません。状態が落ち着いている利用者も、食事、入浴、排泄など、一つのシーンに注目して観察を続けると、微妙な違いが見つかります。日々の違い、そこに表れたその人らしさを記録していきましょう。
(例)浴槽につかると「あ~」と声を出し、目をつぶって気持ちよさそうな表情をした。
「できること」「できないこと」を知る
自立に向けた支援を行うには、利用者の「できること」「できないこと」を把握することが大切です。例えば、ベッドから車いすへの移乗の際、いつも機械的にやっていると、その利用者が、端座位になる、立位をとるなど、移乗のプロセスのどこができないのかを、正確に把握できません。それらを見極めた上で、できることを引き出すケアを提供し、記録に残します。
(例)ベッドから車いすへの移乗では、立位で右足に力が入り、膝折れなく移乗できた。
自分から引き出すのもOK
いつも大きな変化のない利用者の場合、ケアの目標を意識しつつ、いつもと違う働きかけで反応を見るのも一つの方法です。孫の話しかしない利用者に娘さんのことを聞いてみる、食事はいつも全介助の利用者にスプーンを渡してみるなど、思ったような反応がなくても、その結果を記録することで次のケアのヒントになります。
(例)食事の時、スプーンを渡してみるが特に動かすことなく、介助者が口に食べ物を運ぶのを待っていた。
NPO法人グレースケア機構代表。介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員。老人保健施設等の勤務を経て現職。長時間ケア、娯楽ケアなどの自費サービス、訪問介護、研修事業等に取り組む。
鈴木順子
NPO法人グレースケア機構スタッフ。介護福祉士、介護支援専門員、保育士。訪問介護、有料老人ホーム、認知症グループホーム等での勤務を経て現職。利用者をきめ細かに見つめる目を持つ。
文/宮下公美子 イラスト/尾代ゆうこ
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